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最高の人生

【あんスタ】SS編第3章『シークレットサービス』 感想文

 

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ふ、不穏〜!

確かに閣下はご登場時から、争いのない崇高で平和な世界を望んでいると仰られてはいたが、こうなれとは言っていない!不穏にも程があるだろあきら!

というわけでSS編第3章『シークレットサービス拝読しました。物語の根幹が大きく動く衝撃ストーリーでしたね。私はこういった概念バトルが大好きなので楽しく読めました。単にキャラクター解釈違いが全然なかったというのもある。よかった、あきらと解釈違い起こしたら舌噛み切って死ぬところでした。危ない。

感想文を書いたら9000字くらいになっちゃったので本当に暇な人だけ読んでください。いつにも増して冗長的な文章なので読みづらさエグいかもです、申し訳ない。

ここで書いている神云々の話はあくまで個人の主観に基づいた所感にすぎませんので、特定の個人団体に準拠した内容ではございません。悪しからず。

 

 

☆『ゴッドファーザー』という概念


ゴッドファーザーについてはズ!で『SS』の概要が明らかになった時点から、今は存在しない強固な"はじまり"、概念たる神として登場してきたわけですが。

Adamのふたりは『ゴッドファーザー』に直接的に関わる存在であり、まあそれゆえのAdam(=神が身体の一部を使用して作り出した存在)なのでしょうし名前自体が皮肉にも程があって好きなんですけれど、

ズ!最終章としてリバースライブがあり、アレを前提としてズ!!続編をやるからには、どうしたって『ゴッドファーザー』絡みの話を進めなきゃならないわけですよ。

実際ボギータイムで閣下が仰っていましたからね、未だに我らは神たる父の死骸の上で踊り狂っているに過ぎず、ゆえに今後の厄災に備えなければならないと。今回はその"厄災"の具体的な内容の一端が明かされたというわけでしょう。

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そしてSS予選編は本当にただの予告編でしかなく、全ての物語は本編にて決着がつけられるとも示唆されたわけです。本編において他アイドルとの協調が重要となるのであれば、それに付随したフュージョン企画という側面もあるのでしょうし、なんというか、このメインライターの性癖モリモリゴリゴリの少年漫画的(良い意味で)バトルストーリーに齟齬が生じない程度にゲーム的要素を企画するのがハッピーエレメンツは本当に上手だなって思います。


閑話休題


さて、神とは一般的には宗教的存在、宗教団体の主柱として語られるものではありますが、現代において神が実在していることはほとんどありません。神なるものが原初に存在し、死を迎え、その姿を弟子なり信者なりが語り継ぎ、後世にまで残っていく。往々にして神の実像はその過程で歪められ、もはや実像とは言えぬ虚像に成り下がるわけです。我々人類が世界規模で抱えている恐るべき共通認識それこそが"神"であり、しかしながら神は実存しないため、各々が自由気ままに神の姿を想像するほかないわけです。想像上の神、それこそが偶像です。


あんさんぶるスターズの世界における神とは、すなわちアイドル業界、特に男性アイドル業界の趨勢を担ってきた"はじまりのアイドル"を指しています。ビッグバンであり天空であり、全能なりし我らが父であるわけです。

"はじまりのアイドル"はその後男性アイドル業界を牽引する権力そのものとなり、裏から全てを操る支配者となり、そして死んだとされていました。少なくとも我々が観測しているあんさんぶるスターズの世界では彼はすでに死んでいて、しかしその死因なり死の経緯なりは、なるほど明らかになっていなかったわけです。


そしてあんさんぶるスターズにはもう一人重要なキーパーソンがいます。はい、皆さんご存知『あの明星』です。

『あの明星』についてはサービス当初から示唆されていたものの、これもズ!メインスト第二部が動き出すと同時にようやく全貌が明らかになったわけですが。

アイドル業界が抱えた闇そのもの、汚点の代名詞。口に出すのも憚られる存在。それこそが、我らが明星スバルが焦がれてやまない明星父なわけです。

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明星父は無念の獄中死を迎えたとの描写があったはずですが、今回の閣下のお言葉によれば彼は実は死んでおらず、隠居生活を切望したゴッドファーザーに成り代わっていた、と。

とんでもねえ話が出てきてしまいました。正直深読みオタクの妄言だと思っていた説がまさか……本当にこんな話になるとはね……


まあ、しかしですね、話の辻褄は合うわけですね。

アイドルを愛していた『ゴッドファーザー』が様々に手を尽くして男性アイドル業界を盛り立てていたのは周知の事実ですが、であれば『あの明星』事件後にアイドル業界が斜陽であったのは何故なのか、という。根本的な話ですよね。

いや私は単に推しが死んだからゴッファも弱って死んだのかな……くらいに思っていたのですが、話はそんなに単純ではなかったようです(そりゃそうだろ)

アイドル業界に文字通り食い潰された明星父が、いまもまだ『ゴッドファーザー』として存在しているのであれば、アイドル業界を再び盛り上げる理由はないだろう、と閣下は予測されていました。まあそうだよな、と。閣下や氷鷹誠矢、スバルさんの言を参考にすれば、明星父はまさに明星スバルそのもののような、夜空に輝く一等星のような存在であったといいます。そんな彼が自ら日陰に入って全てを牛耳るなんて真似を望むとは思えない。とはいえ初代『ゴッドファーザー』も明星父に似ていたらしいので、その辺りは……やはり運命的な出会いだったのでしょうが。

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しかし実際に明星父と接触を持ったことのある閣下がそう言うなら、まあそうなんでしょう。このへんはミスリードの可能性もあるので、示唆されている内容をなぞるだけで済ませますが。

指導者にやる気がないなら業界が傾くのは納得です。それでもアイドルを殺し尽くせなかったのは、現『ゴッドファーザー』かもしれない明星父の未練でしょうか。本当に二代目が彼なのであれば、去年のSSをどんな気持ちで見つめていたんでしょうね。息子に嫉妬とかするんでしょうか。ドロドロすぎて嫌なんですけど……(嫌とか言うな……)

 

 

☆三代目の神になる


で、この衝撃展開によって何が問題になるか、つまり閣下が何を重要視したのかというと、『ゴッドファーザー』にしろ『あの明星』にしろ、元はただの人間であったということです。神は最初から神にあらず、結果として神になり、神なる概念として死したいまも男性アイドル業界(つまりあんすたの世界そのもの)を支配しているという厳然たる事実です。

ゴッドファーザー』にとって閣下はインテリア扱いだったとの話もありましたが、今回を踏まえると結局閣下も『ゴッドファーザー』にとっては代役の可能性が極めて高かったわけです。というか閣下が己の存在理由をそのように解釈している可能性が高い。

閣下は神たる父が愛したアイドルになるためにこれまで生きてきて、これからもそのためにしか生きません。そうして彼の父が抱いていたを知る、それこそが乱凪砂の生きる意味です。

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しかしアイドルになり、SSで優勝し、すべてのアイドルの頂点に立つことそれ自体が神になることなのであれば、閣下の最終目標はそれになってしまうわけですよね、理論上。結果的にそこに行き着いてしまうよね?という。


閣下が神になるのが良いか悪いかは別として、まあ神になっちゃったら日和は怒るだろうし、時と場合によっては七種と袂を別つことになりかねないでしょうし。そういった点をファンの皆さんは危惧してい……ますよね?そんな気がするんですが?


巴日和はにとって乱凪砂は家族であり一番であり太陽であるので、彼の選択や意思を最大限尊重します。それが彼自身を傷つけるものでない限り。

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しかし初代にしろ二代目にしろ『ゴッドファーザー』が辿る末路は、アイドルを辞めるという選択なわけです。全てを支配する神になるのであれば、アイドルを引退せねばならないのではないか?だって神は死ななければならないのです。神は死に、実存は失われ、概念と化してこその神なわけです。アイドルとは既に失われた神の"偶像"です。新しい神になるのであれば、後世のアイドルの模範となる"失われた存在"にならねばならない。

その時、乱凪砂が巴日和とは共に在れなくなるのは明白でありましょうし、それを日和が許すかと言われると絶対許さないでしょうし。しかし閣下は強い決意のもと、日和が望む世界を創り守るため、日和の手を離す可能性があるというのが分かってしまったわけです。

いや、いや、閣下ほどのひとであればより素晴らしい何もかも超越した人たる神、神たる人として頂点に君臨することもできなくはないのでしょうし、彼がそこを目指している可能性も大いにあるので、一概には言えないのですが。

みんなで一緒にゴールが昨今のお約束で、そんな世界を日和くんは好んでいる……とコンクエストでも言及していましたし。なによりも日和の気持ちや愛を無下にするなんて閣下は絶対にしないでしょうから。

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そして七種ですが、七種が『ゴッドファーザー』を排除したがるのは二つの大きな理由がありますね。

一つ目は自分という存在そのものを放逐し省みることもなかった彼への私怨、もう一つはビジネスにおける巨大な障壁を排除したい野望です。

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一つ目は我々がプレイヤーという立場を利用してうっかり垣間見てしまっている、"生まれ"という強すぎる七種のパーソナリティが主因ですので、まあ当然の理由です。当然の理由ですがこれを知っているのは現状Edenの皆さんだけなので、周りの子達からすると「なんであいつあんなに感情的になってるんだ?」ぐらいの感じなんでしょうね。気の毒……

ワンダーゲーム及びボギータイムで散々語ってくれたので詳細は省きますが、ともかく七種は自分を産み落とした血族に対して全く良い感情を持っておらず、たぶん許される状況が用意されたら拳銃で撃ち殺しちゃうぞってくらいにはムカついてるはずです。お父さんお母さん、生んでくれてありがとう、死ね!です。まあ彼は賢いので彼を捨てた両親にはほとほと興味はないでしょうし、首を差し出されても殺さないでしょうけど。殺したところでデメリットしかないので。

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(このセリフが三度の飯より好きだから貼りました)

 

そして七種はめちゃくちゃ悪い言い方をすると本当に器が小さいので、一度抱いた悪い感情を簡単には捨てません、というか死ぬまで捨てません。なので『ゴッドファーザー』のことは死ぬまで嫌いでしょうし何の理由もなく唾を吐くと思います。

 

そして二つ目の理由は彼が『ゴッドファーザー』という存在そのものを凌駕するために身につけてきた戦闘能力、すなわちビジネス領域の問題になりますね。新しい事業開拓の際に化石のように散らばっている『ゴッドファーザー』の残留思念、本当に邪魔なんでしょうね。おそらくアイドル業界で何をしようとしてもかの概念に邪魔される。彼の息がかかった人間はまだまだ多く存在するでしょうし、彼が作り上げたシステムはアイドル業界の根幹に食い込んだままです。できればこれらを全て排除して、そこから生まれる利益を全て吸い上げたい。ですので彼は神の死体除去作業を率先して頑張っているわけですね。

で、七種にとって神とは、少なくとも現状においては邪魔くさいだけの障害です。神に付随した『門番』たる大叔父さんもそうです。彼が成し得たい野望を阻害する存在です。

そういった存在に閣下が成ったとき、七種はどうするのか。

 

私はAdamのオタクなのですけど、正直ここに関しては個人的にそんなに思うところはなくて……というのも閣下も七種も非常にシンプルな性質を持っているからです。

彼らの関係ってとても面白くて、周りの人からすると『何も知らない閣下を、七種が苦労して面倒見ている』なのに真実としては『主人は閣下で七種が下僕』という軽い逆転現象が起きてるんですよね。

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しかし我々プレイヤーの視座からすると『七種が閣下を手放したくない一心で頑張ってる』ようにも見える。しかし今回何が見えたかというと『契約関係を相互に再確認する閣下』『閣下を早々に見捨てて撤退する七種』です。

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(「せ、戦略的撤退です!」好きすぎる)

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(無茶苦茶言い訳してる〜〜〜笑)

ヤッタネ〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!すみません本音出ちゃった、絶対この場面では七種にいちばんに逃げ出して欲しかったのでマジでなりふり構わず逃げててほんとに大好きになっちゃいました、そのままのお前でいてくれ、仲間のために死ぬなんてそんな格好良いことすんな、宝物を大事にしすぎてそのうちそんな行動取り出しそうだけど!でも!いざというときは何もかも捨て去って自分一人で惨めに生き残って欲しい!死なないでくれ、死ななきゃなんとでもなるから!頼むから犬死なんてするな〜!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

閑話休題

 

しかしですね、今回七種との繋がりを求めていたのは明確に閣下の方だったので、それが嬉しかったですし……やはり閣下としてはまだ七種を手放す気はないのでしょうね。調子に乗らない限りは便利だし有能なので。本当は助けて欲しかった、って七種に言っちゃうんだ〜って感じでニコニコです。

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七種はたしかに大事なものを大事にしまって美しいものを美しいままで保ちたい性質を持っているのだろうけれど、少なくとも現時点ではやはり自分が一番可愛くて、自分の命を最優先する、そのような選択すると閣下は分かっていたはずです。その上でそんなわがままを言うのなら、最後までついて来てくれたらいいのになぁって、ぼんやりとでも思っているからですか? そうであれば非常に傲慢だと思いますし、そういう傲慢な男が私は大好きです。(何?)

対する七種は基本的に利益の有無でしか人間関係を構築しないのですが、Edenに関しては自らが手塩にかけて育ててきた大事な宝物ですので、もしかしたら話は違ってくるかもしれません。

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七種にとって閣下が有益ではなくむしろ害悪になったとき、七種は閣下と戦う選択肢を選ぶのかどうか。

状況によりけり、といったらこれまでの話になってしまいますが、しかし彼はビジネスマンなので。利のある方を取るだけでしょう。あるいは大事な宝物を傷つけたくないのであれば、地の果てまで逃げ馳せるかもしれませんしね。それまでに培った武器を全部捨てて丸腰で逃げるかもしれない。それでも構いませんし、生きてくれてればなんでもいいです。(本当に何?)

神となり、神になった閣下が作り出す世界が七種にとって有益であることを祈るばかりですね。できる限りAdamにはwin-winであり続けていて欲しいので……。

 

 

☆大叔父の意図、興味、理解不足


大叔父、一体何者なんだ……桜河の間合いってなんだ……尋常じゃない動きをしているから今時珍しい実戦派、いやマジでなんだ……アメリカンマフィアか……銃刀法違反って言おうとしたけどもう颯馬なんかずっとそうだったから今更銃の一つや二つ出てきたところで何にも驚かないプレイヤーになってしまったのが逆に悔しい……

大叔父、マジでアイドルに興味がなくて良いですね。故に彼は敵にならない。アイドルに興味はないが、死んだ神には強すぎる思い入れがある。あいつは厄介オタクですよ、ジャンルに興味ないのに推しはいるんだから……

今回の大叔父、わざわざ三毛縞と手を組んで面倒をかけてやったり、『凪砂さま』(凪砂さま呼びなのめちゃくちゃに良すぎて狂いました、ひとは簡単に狂います)と茨の坊やをまとめて保護しようと動いていたあたり、単なる巨悪というわけでもなさそうなのが分かってきましたね。そりゃ冒頭からあれだけこちらに顔見せしておいて、彼一人だけが敵ってそんな簡単な話にはならないだろうとは思っていましたが。

彼が愛しているのはおそらく初代『ゴッドファーザー』なのでしょうね。散々彼はもう死んでいる、自分だけが生き残った旨の話をしていましたし、彼は『ゴッドファーザー』周りでも非常に重要なポストについていたようですから、事の真相は全て承知の上で、ようやく重い腰を上げて本国に乗り込んできたと。

しかし彼が追及している"御大のご意志"なるものがますますわからなくなってきましたね。アイドル業界をもう一度復興する、ならもっと早く動き出していても良かっただろうし。二代目『ゴッドファーザー』の息の根でも止めに来たんでしょうか?でも初代からしてみれば二代目は待ちに待った後継者だったわけで、それを殺すのは意思に反するのか?いやでも大叔父個人的には二代目のことめっちゃ嫌いそうだし……はい、なきにしもあらずなのでこの話はこれでやめるか……


大叔父面白ポイントその2、あんずの重要性を理解している割に何故重要なのかを全く理解していない

これはしかし仕方のないことだと思うんですね、だって大叔父、アイドルに興味がないので……アイドルたちがどうしてあんずを大切に思うのか、なぜ彼女でなければダメなのか、何も理解していない。しかし有能なのであんずという存在の重要性を確実に抑えている。この歪さがとても良いです。仕事人間って感じで。

あんずが"君たちにとっての神(女神)"であると理解はしているのに、その理由はちっとも理解できない。

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大叔父はアイドルではないしアイドルに興味もない。彼が愛しているのは今は亡き『ゴッドファーザー』だけで、しかしもしかしたら、大叔父が愛したのはアイドルの『ゴッドファーザー』ではなく、『ゴッドファーザー』になってしまった後の彼だったのかもしれません。

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ここまでくるともう明確すぎるのであえて長く語る必要もない気がしますが、あんずってゴッドファーザー』のアンチテーゼなんですよね。したがって『門番』たる大叔父のアンチテーゼでもある。まあ順序は逆ですが。

ゲームの性質上、個を持てない存在。無垢で無為なままでしか在れないプレイヤーという空白

あんず=プロデューサーという存在は埋められない空白であるので、そこに実存はありません。だからアイドルたちにとって彼女は神になり得る。いえ、もっと言えば神が死した世界に光を与える救世主になり得る。メインライターの性癖的に神の父性と母性を対比として利用しているのは明白ですね。母性的神性という意味では母なる海を起源とする奏汰くん、すべての母を目指す三毛縞にも通じるところがあるし、サブマリンもそんな話でしたが、閑話休題

全てを支配し征服する父性的神性、それが『ゴッドファーザー』という死した神の概念で、それこそが大叔父の愛する神だったのでしょう。対するあんずは全てを捧げ全てを愛する母性的神性の象徴です。相容れないふたつの神性の重要性を明確に理解しながら、その本質をわざわざ見ようとしていない、むしろ避けているような大叔父が面白いって話ですね。あの人マジで味方なんじゃないのか……

 

 

☆巴日和のアイドル理論


今回もしれっと巴日和が最強でEveがやばいので、Edenイベの彼らって毎回こうなのか?と震えています。

今回の話においても彼ら二人が全くブレない、立場上物語の根幹に近すぎるAdamの二人が大変な目に遭っていてもいつもの調子で笑ってくれるEveの二人がいるだけでこんなに嬉しい。ありがとうございます。

巴日和のアイドル理論は全く崩れることがない。歌って踊って、笑顔を振りまいて、集まってくれたお客さまみんなを幸せにする、そうしてみんなが幸せになったら、ぼくらも幸せになる。愛の循環、あまねく全てを照らす太陽こそ、彼が目指すアイドルであり、彼は常にそのように振る舞っている。

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そんな彼に救われ、感謝し、弱点をそれとなくカバーし、好き勝手振る舞う彼にどこまでもついていって、表も裏も支えているジュンくん。なんかしれっとおひいさんとなら心中していいって言い出して本当にびっくりしてお前まじでそういうとこだぞ漣ってデカい声出ました。そういうとこあるからほんとに気をつけた方がいいですよ(?)絶対死んでくれないから巴日和は……ダメですよそういう本音をぽろっとこぼしちゃ……

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Eve、巴日和の求める愛の循環がしっかり二人で成立してるからマジで無敵なんですよね。怖。今回はこの二人を起点に事態が好転したのが物語的にも綺麗で良かったです。

一人で無茶したって何にもならないので仲間を頼りましょうね、が今回の大筋みたいなところあるので……

 

 

☆まつろわぬ巨人が抱く『MaM』という夢


『MaM』って三毛縞斑の理想像で、理想郷で、夢なんですよね。MaMで在れさえすればよかったんですよ、本当は。

でも夢ノ咲でもESでもMaMとして在り続けることは簡単には叶わなかった。無理矢理に押し通してきていただけ、世界の理屈を歪め、ルールの穴を突いているだけ。

そういった現状自体を三毛縞はずうっと快く思っていないのでしょう。それに加えて一昨年の抗争時の無力感。物語の根幹に関われなかった後悔。彼が追い求める理想の姿になるために、いよいよ手段を選んでいられないわけですね。

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で、あいつはそういうのを全部一人でやるんですよね。他の誰にも背負わせず、責任も報酬も全てを一人でやってしまう。それができてしまうのが彼にとっての幸福であり不幸でもある。

 

しかし今回怒り狂った桜河のおかげでだいぶ我に帰ったみたいでよかったです。桜河本当にありがとう。感性が近しく、義理人情に厚く、そして暴力となることを望まれて育ってきた君だから、三毛縞斑の魂に声を届けることができる。

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でもね、私は悔しいんです。本当は夢ノ咲にいる間にあんずがこれをやるべきだったんです。でもできなかった。あいつはあんずに何もさせなかった。

あいつは少なくとも維新まで、ずっと八つ当たりをしていただけなんです。物語に関われなかった自分が許せず、大好きな友人を救えなかった自分を許せず、大好きな友人を傷つけた人々を許せず、その後笑ってみんなで手を繋いでゴールするなんて未来も許せなかった。自分の能力を誰よりも信用しているくせに、あいつは自分のことが一番嫌いなんですよ。

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初詣の時にあいつはアイドルを第一目標にさせてくれ、といったんです。アイドルなんて数ある選択肢の中の一つでしかなくて、それに命はかけられないなんて、あんずの前でわざわざ声に出して言ったんです。
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あんずはアイドルのために簡単に命をかけてしまうような子で、きっと三毛縞は彼女のそういう点を憎んでいる。だってそんなことで、他人のために尽くし尽くして死ぬなんて、そんなのはそれこそ存在しない神が担うべき悪行だと思っているからです。だからわざわざあんなことを言ったんでしょう。俺にこれ以上関わるべきではない、だって俺はまだ、君が助けるべきアイドルとはとても呼べないような、遠くにいる男でしかないんだって。あいつ去年の冬になってもなお、予防線を張ったんです。

そうしてズ!!を迎えて、彼は彼が望む夢からどんどん遠ざかっていく。その軌道修正のためのSSでしょうし、そのためのDouble Faceなのでしょうが。そうしてDouble Faceとして活動し、初めて相棒を得て、そうして満足気な顔してあいつが骨董でなんて言ったか……たくさんのアイドルに囲まれて、愛されて、笑っている彼女に向けて、あいつはさよならって言えるんです。言えちゃうんですよね、さよならって……

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でも今回、一人で動いて一人で成果を上げて、その中で自分が築いてきたアイドルとしての人脈を思い知って、いよいよ桜河から最後通告を出されて、ようやく彼は"考え"てくれた。いまの自分、理想の自分、やりたいこと、支えてくれる存在。そういうもののことをやっと考えてくれてよかったですし、であればもうあんずにさよならなんて言えないはずなんです。

命と引き換えにしてでも守りたいほどにかわいいあんずさんに、面と向かって握手できるようなアイドルに、早くなってください。私はその姿が見たいだけです。アイドルとして歌って踊って愛して愛される君が見たいだけです。それがどれだけ難しく、険しい道か、全部わかった上でそれでも私は君を諦めたくない。だってあんずさんは、君を諦めたりしないだろうから。

応援してます、頑張れ三毛縞。